介護者を生きる

グループホーム職員による介護のはなし

また来ます

介護に限らないことだと思いますが、1日の勤務が終わって帰るとき、それまでの恰好から着替えます。

すると、入居者さんはなんとなく「ああどこか行くんだな」と気が付きます。

うちのグループホームは職員のロッカーがユニットの奥にあるため、着替えた後も入居者さんたちのいるリビングを通っていくことになります。

その際「今日も有難うございました」と言ったり、言われたりするのですが、

「帰るの?」と聞かれることもあります。

また職員によっては「帰りますね」と笑顔であいさつしているひともいます。

 

そんな時入居者さんは「さびしい」と言ってくれることがあります。

冗談で言う人もいれば、本気の人もいます。そして、そのどちらかは誰にでもすぐにわかります。

 

本気で「あなたが帰ったらさみしい」と言われて、職員はふつう喜びます。

実際、そこまで関係性が進展していることは素晴らしいことだと思います。

しかし、その場面でうれしいのは職員だけであり、言った方は、やっぱりさみしいのです。

 

私もいつかそのことを考えて、お互いに前向きにその日を別れる方法はないかと考えました。

そして、今では「帰る」という言葉は極力使わず、

「また来ますね」と言うようにしています。

そう言うと、相手は「よろしくね」とか「わかった」とか言うのですが、

なんとなく表情は前向きに見えます。

 

他にもいろいろ方法はあると思いますが、

「また来ますね」はなかなかいい言葉だと思っています。